消えない程度に daydreaming
どこかの国の男の子が、道路にしゃがみこんで路地の先を見つめている。歩いているわたしの角度からようやく路地の先が見えるかというときに 猫のしっぽだけが塀の向こうに消えていくのが分かった。彼は穏やかなスピードで体を起こし、少しだけわたしに目配せをしたようにも思えたがすぐに向かう先へと歩いていった。わたしは足を止め、その空っぽの路地を見つめていた。
未だ見ぬ明日や 会ったことのない誰かに思いを馳せるのに、そんな明日が来た試しもなければそんな明日が来ても気づかないふりをするだろう。わたしはもう二度と会えない人に「じゃあまたどこかで。」と言ったりしてしまうような奴だからだ。
白い帽子を被った子どもらは光の中から影をつくり現れた。次々にわたしを通り越していって、不思議と耳が塞がり目がくらんだ。午後3時過ぎの街は、失うものも見えなくなるくらい眩しかった。夏は突然に終わる。それでも、いつだって写真の中は静かだった。