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日没

東京はクリームソーダの街らしい

Nightfever

もらった手作りの石鹸は、やっぱり使えなくて部屋の片隅にある。零れるサイダーを見つめていたら、星の呼吸が聞こえるかな。誰かからの手紙が届く時に一番気になるのは、何色のペンで言葉を書いたのかってこと。3月の日曜日、ネイビーブルー。そんな記憶、そんな匂い。

喫茶店で一杯500円くらいの珈琲を飲むことを、どうでもいいなんて言わないでよ。誰かのマネなんだけど、素敵なミルクの入れ方を教えてあげるから。珈琲の匂いで目覚める毎日を想像したいし、変な名前のメニューだって許したい。煙草臭い店内は埃だらけの本が山積みで切れかかっている電球のテーブルを見極めて席に座る。何故だろう、いつもどんな音楽が流れていたかが思い出せなくて、不思議と切なくなるね。3月の土曜日、レモンイエロー。冷めた珈琲が急によそよそしく味を変えて、酸っぱくほろ苦くなってしまうのにどうしても慣れないな。もう別れの時間だと分かっていても、まだまだ君と一緒に居たいのさ。珈琲が冷めると同時に足元が冷えていることに気づくと、向かいの膝小僧との距離が過剰に気になったりするのだけれどそれはなんだか春の訪れを待つソワソワした気持ちにどこか似ている、そんな気がした。

小さい箱の中に、見たことない顔と見たことある顔と見たくもない景色があった。それはもう逃げ場がなくてどうしようもないし、知ってる場所や知ってる人のことも思い出せない心地なんだよ。地下にある小さい箱は風も通らない、そこの景色はじわじわ混ざって熱くも寒くもない。生温いことなんて、それっぽいエンドロールなんて吐き気がする。本当に好きだったものですら知らぬ間に本当だと思えなくなるような、

わたしはなんで此処に居るんだろう。3月の日曜日。

素敵なお店は素敵な名前なように、何か名前をつけるとしたらスワンとつけよう。花を持った少年は無表情で、ただただ音楽を鳴らしていた。そこから何が見える?君は気づかないふりをしているのかな、

花はいつか枯れるってこと。