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日没

東京はクリームソーダの街らしい

気の抜けたサイダーみたいな

7月になることに対してもう少し身構えたりフワフワしたりしていたかった。ついこの間まで街はもう6月の感じだったはずなのに、早すぎるよ。今日で6月が終わる。それは誰にも、どうすることもできなくて切ないな。

濃いめの青と、鮮やかな朱色が混ざり合うのってなんて綺麗なんだろう。その時わたしはただただ、薄く明るくなってほしいと願います。何処かで見たことあるようなものを追いかける感覚で。風景の作り出すハイライトな部分を掻き消していこう。情景のコントラストだけを梳かしていこう。

君はまるでどこか違う世界の昔話をするかのように、樹木の年輪の話や、宇宙の話をしてくれた。わたしは頭が悪いから多分話の半分くらいは分かっていなかったこともあると思うけど、ただただ聞いていたくて何も言えなかったよ。言葉にできなくて、うん、うん、と相槌をついては何度も心の中で微笑んだり泣きそうになったりした。わたしには勿体ない。わたしには広すぎる。わたしには遠すぎる。知りたいことと知りたくないこと、どっちが多いかって言われたら知りたくないことのほうが多いと思う。この世界の美しい瞬間のことや原理なんて知りたくないし、何も考えないようにするには何も考えないことを考えないといけないってこと。布団に隠れて誰にも見つからないようにうまく逃げ回っていたんだ。夢の中で…。

(この話はフィクションです)