日没

東京はクリームソーダの街らしい

( 2016 is ... )

2016年新譜以外のもので好んで聴いていた楽曲 アルバムをまとめました。他にも忘れているだけでまだまだありそうだけれど、それはまた思い出した時に聴ければいい。2017年はどんな音楽を聴いて生きていくのだろう。そんなに変わらないんだろうな。

 

Syd Matters  “Obstacles”

この曲を初めて聴いたときから、それは今でも、どこから溢れてくるんだろうと不思議なくらいだ。過去の倦怠感や数年前の歯がゆさや 知ることの無かった想いや景色 知ってしまった気持ちも場所も それにあの時の煌めきとか…そういう言葉にできない仕舞い込んでいたものたちがまるで時が巻き戻るみたいに淡々と蘇ってくる。淡々と、すべて。Obstaclesは「ライフ イズ ストレンジ」というゲームで出会いました。こんな臭いこと言って気持ち悪いですが、このライフ イズ ストレンジという作品もこの曲も、本当にかけがえのない出会いだったなぁ。

 

Taiko Super Kicks  “低い午後”

「この曲似合うと思う」って人に言われて聴いてみた曲が、こんなにもしっくりと心を掴まれたのは初めてだったかもしれない。予期せずどこからともなくスルリと現れて 染みこんできて、なんだか特別な1曲になってしまった。Taiko Super KicksのVo.伊藤暁里さんは「気怠さ」に惹かれて曲作りを行うようになったきっかけは村上龍の「限りなく透明に近いブルー」を読んで どんよりと倦怠感に包まれているその感じを音に出したかった と言っていた記事を見て、すごく親近感が湧いたし 低い午後を聴いて直感で好きだと感じたのは間違いじゃなかったなと思った。

 

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The Radio Dept. 『Clinging To A Scheme

少し前から数曲聴いていて好きだったのですが ふとこのアルバムを初めて聴きまして それはもう一瞬で恋に落ちるような気持ちになってしまったわけです。全曲いいし他のアルバムも素晴らしいです。多分2月はレディオデプトしか聴いてなかったような気がする。特に好きなのが5〜7曲目の流れ(Memory Lossがどうしようもなく好き)で、もう至高としか言いようがありません。この焦がれるような淡く煙い温度感は、わたしにとって変わらないものを思わせるのでした。 

 

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スーパーカー 『Jump Up』

なぜ今更これかというと、秋頃ラブサマちゃんのとあるインタビュー記事を読んでいたらスーパーカーを無性に聴きたくなってしまい聴き始めたが最後 何かに取り憑かれたようにスーパーカーしか聴けない体になってしまったのです。スリーアウトチェンジは最高でしかないしFuturamaもHIGHVISIONも好きで、でも1番好きなアルバムはANSWERで。わたしはスーパーカー自体後追いなのでJump Upを普通に良いという認識でしか聴いたことがなかったのが、何故だかJump Upが1番好きなアルバムなんじゃないかと思うくらいすごく響いてきて狂ったように聴いていました。“Love Forever” 《あるんだろう 伝えたい感情には 笑えない背景が》詞も音もどういうわけか泣けて泣けてしょうがないし “Low-Down (Live Scene)” がかっこよすぎて頭痺れてくるし “Daydreamer” も……今更何を言ってんだコイツって話ですが、このアルバム めちゃくちゃ名盤です…ね。。

 

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キセル 『窓に地球』

ほとんど聴いたことがないキセルなのですがTwitterで “柔らかな丘” をたまたま聴いてアルバムを借りました。ヴォーカルの寂しげでいて無邪気な声や 古めかしいものを見ているような でもどこか郷愁感を覚えたり。このアルバムが発売された当時のレビューでは「金星にある定食屋で流れる音楽」と形容されてたそうです。美しいんだけど美しすぎて不思議と虚無的なようにも感じます。その中でも7曲目に収録されている “方舟” という曲、打ち抜かれました。《古いデパートの屋上で 君とみる街  水たまり飛び越えたら 海だった  寺の前で笑ったら 坂を上がろう  君の本当に触ったら まだだった  見慣れたドア開いたら 月だった》…君の本当に触ったらまだだった……意味の理解とか感情の高揚とかそういうの飛び越えて、心がおかしくなるかと思いました。

 

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泉まくら 『マイルーム・マイステージ』

泉まくらさんのどこが好きかと言われたら難しいんですが、“candle” “春に” “幻” “通学路” など好きな曲は中毒になるくらいリピートで聴いていました。それでアルバムを借りて聴いてみようと外を歩きながらiPodの再生ボタンを押すと《誰の背中も相槌もない なんて素晴らしいこのステージ  マイルーム・マイステージ》と、イヤホンから聞こえてきた彼女の声はどこか諦めていてどこか遠くを見ていて なのに震えるくらい求めている。ただただ歩くわたしの目の前の世界と それは全てがリンクした気がしたんです。

 

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Peter Joseph Head 『Minnade』

たしかココナッツディスク池袋店さんの呟きで気になって聴いてみたのがきっかけでした。どこの国の音楽かも分からない、何故か日本語で歌う 陽気でへなへなで楽しそうで切実な唄たち。“Boku Ni Atete 僕に宛てて” という曲は、小田和正ばりの普遍的で美しいピアノにのせて《手紙はいいぞ 手紙だからね  遠く離れた君の便りが 僕の住む場所に運ばれてくる  そしたらその時  僕のところに 君は確かに 現れたんだ  それは手紙》と それは隣で誰かに話しかけるように 紙にペンで綴るように 確かに届いてくる。これは言葉通り、感動してしまった。