日没

東京はクリームソーダの街らしい

僕ら

黄色い葉の光がまばゆい。あの時の大学に向かう道を 落ち葉を踏みながら歩いた道を 時間を 憂鬱な気持ちを思い出す、できるだけ静かに。白いふわふわした虫が漂っていて、光みたいだ。

昼間、窓からの陽射しだけで部屋の中が一気に灯り そして暗くなる様子をただ眺めていた。見つめているのに目を閉じたような感覚があった。時みたいだ。

遠くに行きたいっていうのは遠くに遊びに行って満足して帰ってくることじゃない、遠くに行くってことなんだよ。君と2人、カラオケに行ったりそこで踊ったり レンタルビデオを選びあったり 居酒屋で未来についてどうでもよく話したり スケートリンクで転んだり 言葉を濁して笑ったり、何もできなかった。遠くに行きたい目をしてる。遠い目。

なぜだろう、喉や鼻の奥が苦しくて生きてる心地がしなかった あの泳ぎ疲れた記憶は今思えば眩しかったのに。遠くに行っても、そこでまた遠い目をするのだろうか。

あの日の行きの電車、知らない駅の次はまた知らない駅で その次もそうだった。気づかないうちに僕らは川を渡る。車窓から見える景色をぼんやり眺めていると

「いい高さだね」そう隣の人が言った。

その言葉は美しかった。知らない街の色、乾いた空気、あと何駅か先の駅。その時気づいた、

街並みは喋らない。