日没

東京はクリームソーダの街らしい

fade out...

古本市で偶然見つけて、あの子にあげようと思って買った薄紫色の本、未だ渡せてなくて。渡せないまま夏休みになった。その本はとても古くて、買った時にはもうだいぶ色褪せていて表紙が薄紫色からさらに薄水色のような、薄黄色のような肌地を見せていた。買ってから3週間くらいずっと部屋の片隅に置いてあるのだけれど、その表紙を見るたび今もなおどんどん色褪せているんだという輝きと恐怖を感じずにはいられない。空気に触れているということ…時が流れているということ…きっとそれだけじゃない何かが、この薄紫色を褪せさせているのだと、直感的にそう思ってしまった。もっと色褪せたら、もしかしたら今より美しくなるかもという望みも微かにあるけれど、できるだけ早く渡した方がその子の中での価値がある気もするから、今度いい雰囲気の喫茶店にお茶でも誘おう。そこで「梅雨って明けたの?」なんて言って笑われたりしながら、わたしは薄紫色の本を差し出すのだ。多分その日はよく晴れた暑い夏の日で、夕立がくるよ。分かっていても、また傘を忘れてしまうんだろうな。

 

幸せになりたいなんて思うこと、あまり無い。完全に無いわけじゃないけれど。何かを創ろうとする時アイディアを考えても考えても自分の中からは何もでてこないみたいに、水中でもがいてずっと空振りしてるようになるし、周りからもそう見えてしまうんだろうなと。失望するだけな気がして、怖い。

そして周りのことを考える時に、絶対に自分のことも考えることになるんだけど、“自分とは一体何なのか”っていう永遠の問いと、“自分はただの自分でしかない”っていう呪縛の狭間で揺さぶられて身動きがとれなくなるよ。

何事も比べたくない。誰かに自分を認められるのも、誰かを魅力的に思うのも…なにもかも結局は比べることから逃げられずに支配される。。正論を言われても、弱いから戦えない。臆病だから頼れない。でも人間は1人だと生きていけない生き物だからね。。わたしって超人間だぁ。

 

「映画みたいに燃やして最初から始めよう」